帰りが遅い方こそ素敵

やっぱり、帰りが遅い。「きっと残業ね」けど、今日は…。「大丈夫だよ。去年も結局、パパ不在やったもの」ええ。

「また二人きり。ママ、父様は私の事、嫌いなの?」違う、断じて。帰りが遅いのも…ほら、仕事さ。

「うん…」はぁ、娘にこんな辛き気持ちをさせる、亭主が憎いわ。「駄目よ、母様。怨んじゃ駄目。ほら、仕方ありません」

「ただいまー」「え?」「今日は祝い事?」貴方…。「お誕生日よ?」

「はっ、すまん!すっかり…帰りが遅いを避ける事だけ、必死で…」じゃあプレゼントゼロ?「すまぬ。土産で買った餃子しか…」

「餃子…私、好きよ?嬉しい」「お前にやるとは…」「え?」「なあんて嘘だ!ごめんな。これで…」貴方、お願いだから早く部屋へ引っ込んで頂戴。不快だわ。

「何故?」これなら、帰りが遅い方が良かったわ。「ショック…」「お前らなぁ…理解出来ぬわ。ちぇっ。つまらん、寝るわ!」

相変わらず子供の彼。「悪りぃ人じゃねーのに」うん。けど、無邪気過ぎて、あまりにさ。